
パート・アルバイトの社会保険の加入条件は、ここ数年で段階的に見直されています。
今後は要件そのものがなくなる可能性も議論されており、採用や雇用管理に関わる担当者にとっては最新の動向を把握しておくことは欠かせません。
社会保険は一定の条件を満たした場合、加入が前提となる制度です。運用拡大後の対応を後回しにしてしまうと、企業側が指導や罰則を受ける可能性もあるため、早めに準備をしておきましょう。
この記事では、パート・アルバイトの社会保険加入の基本的な考え方や条件、加入に関してのポイントなどを交えながら解説していきます。
目次
社会保険とは? 意外と知らない基本ルール

社会保険とは、国が運営する公的な保障制度の総称です。日本に住む人は、国民年金や医療保険など、いずれかの社会保険に加入する仕組みになっています。
企業の採用・労務管理において特に関わりが深いのは、健康保険と厚生年金保険です。健康保険は医療機関での自己負担を軽減するための制度で、75歳未満が対象です。厚生年金保険は将来の老後資金を支える年金制度で、加入できる年齢は原則70歳までです。
これらの社会保険は、代表者や役員を含め、正社員であれば原則全員が加入対象となります。そして、パートやアルバイトでも、一定の条件を満たしている場合は加入が義務付けられています。
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パート・アルバイトの社会保険の加入条件

- 給与が月額88,000円以上(年間106万円以上)
- 2カ月を超えて働く見込みがある
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 勤務先の従業員数が51人以上
参照:短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大(日本年金機構)
パート・アルバイトの社会保険適用条件は、段階的に拡大されています。2024年10月の法改正では、従業員51人以上の企業が適用対象となりましたが、今後は10年ほどかけて段階的に縮小・撤廃される予定(※)です。
この流れにより、これまで社会保険の適用対象外だった少人数の事業所でも、加入対応が必要になるケースが増えていくと考えられます。パート・アルバイトの比率の高い小規模な飲食店や、ホテル・ブライダル施設では、特に注意が必要です。
制度見直しの背景には、少子高齢化に伴う年金制度の維持という社会的課題があります。働く側にとっては将来の年金や保障が手厚くなるメリットがある一方、企業側には社会保険料の負担増や労務管理面での対応が求められます。
今後も適用範囲の拡大が検討されているため、採用担当者には継続的な制度理解が欠かせません。
なお、パート・アルバイトが社会保険に加入するかどうかは、年収だけで判断できるものではありません。一定の企業規模のもとで、労働時間や月額賃金など、複数の条件をすべて満たした場合に加入対象となります。
よくある誤解として、年収130万円を超えなければ社会保険に加入しなくても良いと考えている方も少なくありません。しかし、130万円は配偶者の扶養に関するラインであり、社会保険の加入条件とは異なります。
例えば、一定規模以上の企業で月額賃金88,000円以上、かつ週20時間以上勤務している場合は、年収が130万円未満であっても社会保険への加入が必要になるケースがあります。
採用時やシフト調整を行う際は、年収だけで判断するのではなく、勤務実態と企業規模をあわせて確認することが重要です。

パート・アルバイトが社会保険の加入対象外になるケース

社会保険の適用範囲は年々広がっていますが、すべてのパート・アルバイトが対象になるわけではありません。雇用形態や契約期間によっては、加入の対象外となるケースもあります。
契約期間が2か月以内のパート・アルバイト
雇用契約上、勤務期間が2か月以内と定められている場合、基本的には社会保険の対象外です。
しかし、契約終了後も引き続き雇用されることが決まった場合は、その延長日から社会保険の対象になります。
季節限定の業務で契約期間が4か月以内
農業や漁業などの特定の期間で限定して働く季節雇用のアルバイトで、契約期間が4か月以内であれば、社会保険の対象外となることがあります。
契約の時点で4か月を超える勤務が見込まれる場合は加入が必要です。
臨時的な事業で契約期間が6か月以内
工事現場など、臨時的に行われる事業でのアルバイトで、契約期間が6か月以内の場合は、社会保険に加入しないケースがあります。
ただし、最初から6か月を超える契約を結んでいる場合は、当初から加入対象となります。
日雇いのアルバイト
原則として、日雇いで働くアルバイトは社会保険の加入対象外です。
ただし、日雇いとして働き始めた場合でも、結果的に同じ業務を1か月以上継続することになった場合は、条件を満たした翌日から社会保険の加入が必要となります。
パート・アルバイトの社会保険適用拡大で企業が気を付けたいポイント

パート・アルバイトの社会保険の適用範囲が広がることで、企業の採用や労務管理にも影響が出てきます。
特に、非正規雇用であるパート・アルバイトの数が多い企業ほど、事前に制度の変更点について注意が必要です。
扶養を外れることによる従業員の不安
社会保険に加入すると、扶養から外れてしまうパート・アルバイトが出てきます。また、保険料が給与から差し引かれることで、手取りが減ることに不安を感じるという方も少なくありません。
この点は従業員側だけの問題ではなく、説明や配慮の不足で、企業への不満や不信感にもつながってくる可能性があります。勤務時間を調整することで加入要件を満たさない働き方を選ぶ方法もありますが、合わせて、社会保険に加入するメリットを丁寧に伝えましょう。
社会保険料の負担増加
社会保険の適用対象となる従業員が増えれば、企業が負担する社会保険料も増加します。これまで適用対象外だったパート・アルバイトが多い企業では、コスト面での影響を大きく感じるケースもあります。
採用計画や人件費の見直しが必要になる場面も考えられます。
社会保険加入に伴う労務管理と税額
社会保険に加入したパート・アルバイトの社会保険料は、正社員と同様に標準報酬月額に基づいて毎月保険料を管理・徴収しなくてはいけません。また、社会保険料が控除された後の金額に対して所得税が計算されるため、税額にも変動があります。
最終的には年末調整や確定申告で調整されますが、社会保険の適用前後で給与や手取りに変化が出ることを、企業側もあらかじめ理解しておきましょう。
パート・アルバイトが社会保険に加入したくない場合はどうする?

パート・アルバイトのなかには、社会保険に入らずに働きたい、と考えている方も少なくありません。採用を進めていくうえで、こうした希望を正しく理解し、認識のズレを防ぐことが重要です。
ここで押さえておきたいのが、年収の壁と言われている年収のラインです。
社会保険に入らずに働きたいというパート・アルバイトの希望を叶えるためには、どの年収・就業ラインを意識しているのかを事前に把握しておくことが重要です。
あらかじめ年収の基準を共有しておくことで、シフトや収入の調整もしやすくなり、採用後のミスマッチ防止にもつながります。
- 年収106万円
週20時間以上かつ月収88,000円以上で働く場合は、社会保険の加入対象となる可能性があります。
年収が130万円未満でも対象になります。 - 年収130万円
配偶者の扶養からはずれ、自身で社会保険料を負担する必要があります。 - 年収150万円
配偶者控除が段階的に減少し、世帯全体の税負担に影響が出てくる目安です。
また、配偶者の扶養内や社会保険に加入せずに働きたいという申し出があった場合は、次の2点を意識しておくことが大切です。これらのポイントを踏まえて、収入や勤務時間の目安を事前に共有し、無理のない働き方を提案することで、採用後の認識のズレやトラブルを防ぐことができます。
- 週の労働時間を20時間未満にする
週20時間以上になると、社会保険の加入対象になる可能性が高まります。 - 年収を129万円以下に抑える
130万円を超えてしまうと、配偶者の扶養から外れてしまいます。
パート・アルバイトの社会保険未加入のリスク

社会保険の適用範囲が拡大している中で、加入条件を満たしたパート・アルバイトを未加入のままで放置していると、企業には様々なリスクがあります。
知らなかった、対応が遅くなってしまったというだけでは済まされないため、手続きに漏れがないように注意しましょう。
採用活動への影響
社会保険の加入手続きが適切に行われていない場合、ハローワークに求人申し込みができなくなります。人手不足が続いている中での採用チャネルが制限されることは、大きなデメリットと言えます。
法令違反による罰則
健康保険法208条によると、正当な理由なく社会保険に加入させるべき従業員を未加入のままにしていた場合、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
違反したからといって、すぐに罰則が適用されるケースは多くありませんが、行政指導を受けても改善が見られない場合は処分の対象となることがありますよ。
退職者の未納保険料を会社が負担
未加入のまま雇用していた従業員がすでに退職している場合、本人負担分も含めた未納の保険料全額を会社が負担しなくてはいけないケースもあります。
後から対応しようとした場合、企業側の負担が大きくなってしまうことがあります。
過去の保険料を請求されるリスク
社会保険の未加入状態が判明した場合、最大で過去2年分の社会保険料をさかのぼって支払うように求められる可能性があります。
その際、未納分だけでなく、最大10%の追徴金が発生するケースもあるため、注意が必要です。
社会保険の制度を理解して、安心して採用を進めていくために
2025年の法改正により、パート・アルバイトの社会保険適用は今後さらに広がっていきます。
採用担当者には、勤務時間や賃金、事業所規模といった条件を正しく理解し、社会保険の適用可否を事前に説明することがこれまで以上に求められます。
応募者の希望する働き方を踏まえたうえで、制度を正しく伝え、選択肢を用意することが採用時の認識のズレやトラブルの防止につながります。社会保険制度を理解し、安心して採用を進められる体制を整えていきましょう。
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